Web Hosting by
Netfirms
|
Free Domain Names by
Netfirms
ティゥヴィメガーナ
〜定義〜
難しい事ではない。背が低くて眼鏡をかけている女性が好きであれば良い。
〜愛情〜
そう。彼女はスーツを着る。
一見リクルートスーツだが、紺地に銀と白のツートンピンストライプだ。ボタンは銀。袖ボタンも銀だ。
かっくいい。懸命に探したのだ。
中に着ているのは,白い開襟シャツ。アイロンも効いている。
彼女は自分でアイロンをかけるのだ。一枚一枚に決意を込めて。
アクセサリにも手は抜けない。気をつけなければいけないのだ。
例えばイヤリング。あまり大きいものを選ぶと彼女が小さい事が目立ってしまう。
ネックレス。胸元に視線を集め過ぎると上から覗き込まれてしまう。屈辱だ。
指輪。大きい石は選べない。手も小さいのだ。
靴はもっと大変だ。まずサイズが無い。
資本主義の弊害で小サイズは作成されにくいのだ。
探す。しかし無い。たまさか見つけてもデザインが子供っぽかったり、逆にお年を召した方用だったり。
通販雑誌は手放せない。もちろん失敗も沢山ある。足に合わなくても履かざるを得ないのだ。しかし利用せざるを得ない。
朝、いつものように通勤電車に乗込む。今日も満員だ。
周りの人たちはチビだからといって遠慮なぞしない。息が苦しい。目の前に壁があるのだ。彼女は新鮮な空気を求め上を向く。
オヤジ、目を合わせんなよ。てめえの面なんか見たい訳じゃ無いんだよ。歯は磨いて来いよ。ネギくせえんだよ。
臭いは下に降りてくるのだ。
あっ、人の頭に本を載せるな。あっ、新聞でつつくんじゃねえ。上の方は気をつけてるかもしれないが下にも人がいるんだよ。ふざけんな。まったく。
電車が揺れるとまた厳しい。
潰されてしまう。化粧もばっちりしてきたのに,他人のスーツでこすれてしまう。申訳ない気持が沸いてくる。汚してしまうのだ。
まっすぐ立っていたいのにつり革まで手が届かない。流されるまま。
会社で着替える。制服は支給されているが、これを貰うときに嫌みを言われた。
あなたのは特注なのよ。人よりも高かったんだから、すぐ辞めたりしないでね。
辞めるつもりで入るバカはいないではないか。
昼食時。あなたは小さいからご飯も少なくて済んで経済的ね。うらやましいわぁ。
体型を維持するためなのだ。おいしいものは大好きだけど食べ過ぎるとすぐ太ってしまうだけなのだ。そんなのは身長に関係無いことではないか。
仕事中。おい、彼女はどこへ行った。どっかでさぼっているのか?見つけてこい。
そんなことは無い。自分の机にいる。わかってて言うのだ。冗談も良いがあまり何度も言うな。手助けなんかいらない。私には踏台がある。なんでも自分で出来るのだ。
今夜はデートだ。久しぶりに会う彼。つもりつもった不満をぶつける。チビだからってバカにするんだよ。そう訴える。
お前さぁ,文句ばっかりな。たいしたことねえじゃん。背が低いんだから仕方ないだろう。牛乳飲めよ。
......それは言って良いことなのか。
彼女は負けない。
チビだからって負けない。
体が小さいならば存在感を大きくするのだ。
気勢をはるのだ。
彼女は眼鏡をかける。
目が悪いからだけでは無い。世の中と一線を引くのだ。
本当の自分を裡に秘め,戦うために。
常に前を向く。
常に上に伸びる。
本当の自分は,体よりも大きいことを証明するために。
そんな彼女が大好きです。
Back to Top